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名簿業者から購入、9千人データ振り込めに悪用(読売新聞)

 愛知県警が先月末に摘発した振り込め詐欺グループが、関東圏の名簿業者から購入した9000人分の名簿を基に電話をかけ、現金をだまし取っていたことが9日、愛知県警への取材でわかった。

 名簿には、氏名や住所、勤務先だけでなく、月収、勤続年数、口座番号など詳細な個人情報が含まれていた。県警は、名簿が業者に出回り、詐欺グループが入手する過程に問題がなかったか捜査している。

 先月28日、愛知県警に詐欺容疑で逮捕されたのは、東京都千代田区外神田、会社役員・高津真吾容疑者(27)ら5人。

 悪用されたのは、行政書士や栄養士などの通信教育講座の受講生名簿と見られ、5人は、名簿を基に昨年10月から先月まで「講座の修了手続きがされていない。修了するには教材購入と手続き費用が必要」などと電話し、1件当たり現金数十万円をだまし取っていた疑いが持たれている。

 1日に500~1000回の電話を繰り返していたといい、被害者は全国に100人以上、被害総額は計2000万円以上にのぼるとみられる。

 捜査関係者によると、名簿はすべて東京・目黒区のマンションで押収された。中には、銀行の口座番号やクレジット番号などの「信用情報」が記載されているデータもあった。

 高津容疑者は、インターネットで名簿業者を探し、まずサンプルを入手。実際に電話をかけて信用性の高い名簿に絞って購入していた。購入先は10業者を超えるといい、1人当たりのデータ仕入れ単価は、数十円~100円だったという。

 「名簿」に加え、他人名義の「通帳」と「携帯電話」は、振り込め詐欺グループの悪の3点セットだ。この三つがそろうことで、詐欺グループは犯行に及ぶことが可能となる。

 このうち、通帳と携帯電話の不正取引については、警察の摘発が進んでいるが、名簿の取引については、現行の法律では、取り締まりが難しく、振り込め詐欺撲滅の障害となっている。

 経済産業省は昨年10月、事業者(企業など)を対象に、不正に流出した名簿を扱うヤミ業者の利用は個人情報保護法に触れる、との運用指針を出した。しかし、同法が、違反した場合でも、まず、行政処分を行うと規定していることもあり、愛知県警によると、同法違反容疑での立件は、過去、ほとんど例がない。実際には、詐欺容疑の共犯などとして取り締まるしか手段がないという。

 新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「名簿に記載された情報の種類ごとに監督官庁が違うため、現状では名簿業者を一括して監督できる官公庁はない」と指摘。「個人情報全体を専門に取り扱う第三者機関をつくるなどして、不正行為に目を光らせていく必要がある」としている。(沢村宜樹)

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